コンデンサマイクの不平衡・平衡出力用のコンバータを自作しました

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コンデンサマイクの不平衡・平衡出力用のコンバータを自作しました

投稿記事by tankimono » 2018年4月26日(木) 13:49

プラグイン・パワー用のバックエレクトレット・コンデンサマイクの3.5mmプラグアンバランス(不平衡)出力のXLRバランス(平衡)差動入力用機器接続用のコンバータを自作しました。
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  1. 自作製作の理由

    1. 購入したアナログミキサーのマイク入力は全てバランスタイプの(XLRやフォーン)コネクタ入力で所有するアンバランスタイプのφ3.5mmプラグのプラグインパワー方式のコンデンサマイクが使用できない。
    2. 既製品の販売が確認できなかった。
    3. 技術的興味

  2. コンバータの仕様

    1. マイク入力はφ3.5mmフォーンプラグ(TRS三極)の不平衡(プラグインパワー対応のコンデンサマイク)が接続できること。
    2. コンバータ及び接続マイクのプラグインパワーはこのコンバータ出力端子のXLR端子のファンタム電源(48V)を使用する。
    3. マイク入力はステレオマイクも使用可能とし、出力は二系等のXLR端子に其々R・Lチャンネルを振り分けて出力する。
    4. 内部に使用するアンプは入手可能なローノイズのトランジスタやオペアンプを選択して回路設計する。

  3. 今回設計した回路

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      回路図とプリント基板のデザインはPDFファイルを最後に添付します。
      当初は、蛇の目基板かバラックで組む予定で設計を始めましたが、設計しているうちに出来るだけローノイズで機能も盛り込んだために回路が複雑になり途中から中国での格安プリント基板(10x10cm10枚で$4.9)の作成に切り替えました。
    2. パイロットランプ代わりに青色LEDを利用
      青色LEDの順方向電圧VF=3.2Vをプラグインパワーコンデンサマイクの電源供給用の(低)定電圧作成に利用しました。
      使用した電解コンデンサはオーディオ用無極性(ノンポーラー/バイポーラー)電解コンデンサーを使用しましたが普通の有極の電解コンデンサでも問題はありません。その場合は出力側のファンタム電源側が+電極になります。
      又、コンデンサのフットプリントが一部適当なサイズで作成したため実際のパッケージが大きくてボトムまで挿入できない箇所がありましたが組立上は問題なく半田付け可能でした。
    3. ローノイズのためのパーツ選択を行いましたがファンタム電源(Max=14mA)の制限があるため闇雲に消費電流の大きなパーツの選択は出来ない
      例えば使用するトランジスタはローノイズにするには複数個並列に接続することでローノイズ化が可能である。
      これは同じ等価ノイズNFの素子をX個並列に接続するとNF/√Xとなります。
      これはジャンクションやチャンネルを流れる自由電子の量子化ノイズが打ち消されて平均化される事でノイズ成分がNF/√Xになるという事です。
      それ故、ローノイズの素子はシリコンチップが大きくなるためコストが高くなり回路電流を多くするため消費電力も大きくなってしまいます。
      1. 2SK369の特性
        • 静特性
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        • ID-VDS (低電圧領域)
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        • 等価ノイズ電圧En-ID特性
          画像 今回の使用ではファンタム電源の容量から0.3mA程度しか流せないが10mA流すと入力換算雑音電圧はEnは60%程度に減少することがグラフから解る。
        • NFとIDの相関関係
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        • NFとVDSの相関関係
          画像 グラフからF=10Hz以下の低音域ではVDS=10V以上の電圧を確保したい。
        • NF-RG特性
          画像 信号元側のRGのインピーダンスは500Ω~150KΩ辺りが良さそうです。
        • NF-f特性
          画像 このグラフからも解るように1KHz以下の音声帯域でのピンクノイズです。
      2. オペアンプMUSE8920の特性
        • DC特性
          画像 オペアンプICの消費電流ICCは標準8mAで最大12mAとファンタム電源ではぎりぎりの値である。
        • AC特性
          画像 入力換算雑音電圧は標準で8nV/√Hzである。
        • 入力換算雑音電圧 対 周波数特性
          画像 グラフからもノイズの周波数分布は低音域に従って大きな電圧のピンクノイズであることがわかります。

  4. 不平衡とは

    1. 信号の片方が接地され、対グラウンド(GND)レベルの電位を表わすもの。HOT線とGND線のペアの信号線で伝送することを表わす。
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    2. 不平衡は、データ線とグラウンド線の電位差で信号のデータ(論理)を決定する。
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    3. 外来ノイズなどの影響を受けやすく、長距離伝送や高速伝送には向かないものの、送受信する側に反転アンプが不要で回路が簡単になり、また信号の伝送に要する回線の本数が少なくて済むためコストを抑えられる。

  5. 平衡とは

    1. 信号の送信に、線間レベルを用いるもの。差動ともいう。
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    2. 一つの信号の伝送に二本の信号線を用意して、その電位差で信号を伝える。
    3. 不平衡(シングルエンド)とは違いグランドレベルに左右されないためノイズに強く、高速・長距離の通信が可能だが、但しコストは高い。

  6. 平衡の特徴(対ノイズ)

    1. 対ノイズ性能におけるノイズとは、外からのノイズは限らない。
      • 信号線に電流が流れれば、そこには磁場(放射ノイズ)が発生し、そのノイズは他の信号線への外来ノイズとなる(クロストーク、クロストークノイズ)。
      • 実際に、これによって機器が誤動作を来すことも少なくない。工場や電車など、ノイズ状況が劣悪な環境下では、少しでもこの外来ノイズの影響を受けにくくするために平衡(差動)インターフェイスがよく使われている。

  7. 平衡の特徴(主なインターフェース)

  8. 次のようなインターフェイスは平衡を利用している。
    • RS-449(RS-422)(平衡型のRS-422と不平衡型のRS-423の二つが規定されている。)
    • ディファレンシャルSCSI(SCSIの一種で、物理層の仕様として+と−の2本の信号線を用い、5Vまたは3.3Vでデータを転送する平衡方式(ディファレンシャル)を採用したもの。
      俗にSCSI-3と称される仕様から採用された。)
    • USB(Intelなど業界大手が中心となり策定した、汎用のシリアルバスインターフェイス規格。)
    • HDMI(エイチ-ディー-エム-アイ)とはHigh-Definition Multimedia Interface(高精細度マルチメディアインターフェース)の略で、映像・音声をデジタル信号で伝送する通信インタフェースの標準規格。
    • 音響機器における平衡接続(音響機器相互の接続(マイク - ミキサー - アンプ・録音機器、など))
添付した回路図には抵抗などの在庫品以外で今回手配したパーツは購入先のリンクを入れていますクリックするとパーツの紹介URLにリンクされています。
添付ファイル
UnblansBlans.pdf
今回作成の回路図です
(1.24 MiB) ダウンロード数: 1194 回
最後に編集したユーザー 6 [ tankimono ], 累計 2018 回

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登録日時: 2015年4月06日(月) 18:30
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コンデンサマイクの不平衡・平衡出力用のコンバータPCBを中国に発注

投稿記事by tankimono » 2018年4月26日(木) 16:13

当初バラック組立の予定のコンデンサマイクの不平衡・平衡出力用のコンバータでしたがプリント基板を中国に発注してしまいました。
  1. プリント基板を発注した理由
    • 年のせいで目が悪くなり根気の要る細かい作業が苦手になってしまいました。
    • ブレッドボードなどでの試作は、今回の微弱なマイク信号のような評価には向かないため、蛇の目基板等でコンパクトにくみ上げなければノイズ評価などが出来ない。
    • 中国でのPCB生産が10x10cm 10枚が $4.9と格安に生産できる。
    • 最短は実働5日の1週間程度で入手可能で国内手配と、それほど納期が変わらずコスト的には1/10以下で出来てしまいます。
  2. 中国から国際宅急便のDHLで到着したプリント基板。
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    画像 画像 其々の拡大写真はクリックして閲覧下さい。
    慌てて手配したため、シルクスクリーンのガーバファイルの添付を忘れていたためパーツを区別するための名前や数値、外形が表示されておらず、回路図とプリント基板のデータとの睨めっこで部品を搭載しました。
  3. 組み立て中のプリント基板
    1. コネクターやソケットの搭載
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    2. 大型パーツのコンデンサ類を最初に搭載し主要パーツを搭載します。
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      画像 画像 設計時に慌ててコンデンサの形状をデータシートから確認せずに登録済みのライブラリのフットプリントを流用したため100μF等の外形やピンピッチ合わないものがありピッタリフィットしない箇所がありましたがピンをフォーミングして何とか搭載半田付け出来ました。
  4. 仮組み後のテスト状況です。
  5. 仮組みテストで少し定数を変更してケース加工でくみ上げました。
    実際には、当初はシステム全体をゲイン1の0dBとしていましたが、私の所有するオーディオテクニカのAT9901の感度-40dB(0dB=1V/1Pa,1kHz)では少しレベルが低いように感じ、苦肉の策で設計済みの回路で増幅度の変更が出来る、バランス出力用の片側の反転増幅オペアンプの入力側のRSを47KΩから10KΩに変更して増幅度4.7倍としました。
    正式には非反転増幅器側のオペアンプの増幅度も4.7倍としなければなりませんがパターンカットや空中配線?等が必要なことから今回は見送りました。
    昔使っていたシャーシパンチが見当たらず荒っぽい穴あけで汚くなってしまい、又コネクターの取り付け方向を誤ったため、XLRキャノンコネクタのパネルへのねじ止めが出来なくなってしまい、ケースの開け閉めに支障が出てしまいました。
    画像 画像 画像 時間が有ればもう少し寸法などを細かに計測して加工を行うところを大雑把に加工してしまい少し見栄えに問題があります。
  6. ケースに収納し動作状況をビデオに収録しました。


    ※※今回作成したプリント基板が8枚ほどあまってしまいました。

    前述の説明の様に問題のある基板ですが作成される方でご利用される方がいらっしゃれば、申し出があれば送料のみでお分けしたいと思います。


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