ペルチェ式除湿の防湿庫を購入しました

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ペルチェ式除湿の防湿庫を購入しました

投稿記事by tankimono » 2017年3月14日(火) 11:08

カメラやレンズの防湿保管庫としてペルチェ式除湿方式の大石電機 DHC-100ドライキャビネットを購入しました。
画像最近所有していてフィルム式で使用できないレトロのNikon F2をオークションに出品処分しようと点検した処、レンズなどにカビが発生していました。
又以前に結婚式で現場に到着して、いざ撮影しようとカメラをバッグから取り出した処レンズの内部で露結して曇ってしまって長時間撮影できない事があってから撮影機材の保管はシリカゲルを一斗缶で購入し、不織布にパッキングして乾燥材として使用していました。
使用後の大量のシリカゲルの除湿や再パッキングの手間が面倒なことから今回、電気式の除湿ドライキャビネットを導入する事としたのです。

カメラ等の光学機器保管時の誤った常識・嘘

『カメラやレンズなどの光学製品は、45~55%RHくらいの湿度で保管するのが最適だと言われています。湿度が低すぎるとプラスチック部分の割れや劣化の原因になるので、長期にわたり湿度40%RH以下で保管することは避けましょう。』と言う説明をよく見かけます。

私が調べて頂いた回答が以下の説明です。
ゴムや高分子樹脂、塗装などに関しては誤った常識です。

皮革類は仰る通り乾燥によって水分が抜け痛みますが、カメラに使われるゴムと仰っているものは【ゴム弾性をもつプラスチック】です。
防湿庫は皮革類の痛みを考慮して初期設定を40%程度に設定しています。

天然ゴムはラテックスといい、加硫剤という成分が乾燥によって揮発します。
加硫剤は溶剤ではありません。

カメラに使われるゴム弾性を持つプラスチックは総称してエラストマーといい、加硫剤ではなく可塑剤という成分が配合されており、こちらは加水分解により染み出しが起こりますが、乾燥状態では影響がありません。

カメラに使われるゴムには摺動性などがないために天然ゴムは使われていません。
エラストマーは1930年代に既に工業化されており、レトロなカメラにもすでに使われています。
カメラに使われるエラストマーはTPU(ポリウレタン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、SBR(スチレンブタジェンゴム)などなど様々ですが、乾燥により揮発する成分は含まれません。

高分子樹脂というのも要するにプラスチックです。
塗料も成分の中に樹脂が含まれます。塗料は乾燥や紫外線硬化の過程で揮発する成分は出し切っています。

そもそもですが揮発とは通常の温度での蒸発の事で、温度が関係する現象であり、湿度は関係がありません。

保存に重要なのは温度と湿度を一定に保ち、紫外線を遮断することです。

そもそも適度な湿度を要する印刷用紙や皮革類を同一条件で長期保管する事は本末転倒です。
昨今のカメラ等の光学機器は自動化が進みレンズ内部もフォーカス、絞り、光学手振れ防止や電動ズーム等沢山の鋭敏・高速動作の稼動部分や電子回路が存在することから出来るだけ除湿保管するのが当然です。


電気式のドライ・ユニットは大別して
  1. 乾燥剤除湿方式画像トーリ・ハン株式会社東洋リビング株式会社等と
  2. ペルチェ式除湿画像大石電機IDEX 株式会社
等が市場を大別しているようです。

今回選択したペルチェ式除湿方式の選択理由は、
  1. 技術的興味
  2. 低消費電力(7WH)?連続ペルチェ素子通電時の最大値 ¥1,796/年 @29.3/KWh 実際使用時は扉の開閉頻度や設定湿度が間欠動作に成る為消費電力は下がります。
  3. 乾燥剤除湿方式と比較しベンチレーション切替の稼動弁を必要としない事から故障率が低いと考えた
  4. ペルチェ素子の寿命は素子の作りと回路設計が良ければ稼動部分が無いだけ乾燥剤除湿方式よりも高MTBFを見込める(ペルチェ素子ユニットの半田付と結露によるペルチェ素子への防水処理が良ければ)
  5. 乾燥剤除湿方式は外気で乾燥剤の水分を除湿させるためクリーンルームの使用以外の通常環境では、初期の除湿能力から乾燥剤の再生動作中などの対流で外気導入中の埃による経年で目詰まりし乾燥剤の除湿能力劣化を生じ初期の除湿能力を維持できないとと予想される。
  6. 強制ベンチレーションしないのであれば乾燥剤除湿方式と比較し乾燥剤による空気抵抗で阻害されるベンチレーションより一般的に除湿速度が見込める
  7. 乾燥剤除湿方式は庫内空気の熱対流は生じ得ないがペルチェ方式は庫内空気との接触する低温フィンが上部に取り付けられている事から庫内に対流が生じますが、乾燥剤除湿方式では庫内空気のブラウン運動の拡散でのみ影響される除湿スピードと比較しペルチェ式では対流ブラウン運動の二方式で攪拌・接触除湿するので有利と考えられる。
  8. トーリ・ハンのマニュアルで冬季の周囲の湿度が低い場合運転を停止しろとの記載があり湿度の自動フィードバック制御されていないかのような説明があり???。
  9. 乾燥剤除湿方式の乾燥剤の再生時は大きな電力を消費しそう東洋リビングのLD-120の説明書には瞬間最大120Wの記載があり敬遠した。
  10. メーカーとのコンタクトで大石電機さんに好印象を得た。
3.と4.に関してはコンタクトした大石電機さんの過去実績から太鼓判を押して頂き決定しました。

今回購入時に色々トラブルがありましたがやはり日本のメーカーと言う事もありサポートも真摯に行って頂け無事解決いたしました。

入手したドライキャビネットの試運転を兼ねて通電テストを行なうにあたり温度と湿度をデーターロガー(精度 ±1.1℃ ±3.0%RH)で記録してみました。
初めての2日間通電・無開閉昼間10℃程度の空調無しの室内環境
画像
現在冬場で室温が10℃程度の部屋で2日間の推移は以上のグラフの通り通電直後5~6時間は順調に青色の相対湿度が下がっています。
除湿する為には庫内のペルチェ素子は露点温度以下にする必要がある訳ですがグラフでわかる通り庫内の緑の露点温度は通電後6時間前後で氷点下(水色線0℃以下)になっています。
これ等のデータから庫内のペルチェ素子の導熱フィン表面は庫内の湿度で氷結してしまっており通電しても除湿能力は大幅に低下(青色の湿度のグラフの傾斜が緩やか)していると思われます。
トラブル解決の間に試験運転時の庫内湿度と温度のログです。
4日間通電・無開閉昼間10℃程度の空調無しの室内環境です
画像
グラフでは48時間で略、相対湿度32%まで下がり以降2日間で1%除湿の31%で室内温度が上昇しなければ、これ以降の除湿は見込めそうに有りません。

此れはペルチェ式除湿方式の宿命です
夏場はペルチェ式除湿、冬場は乾燥剤除湿方式に向いているのでしょうが2方式を使い分ける訳にもいきません。
今回は2日間(48時間)でのデーターですが設定ターゲットの20%からは12.5%の開きがあり(内部のクッション等の湿度も影響?)32.5%程度までしか下がりませんでした。
庫内温度と露点温度差は14℃程度あり室温が15度以下でのターゲットの相対湿度20%は不可能かもしれません。
引き続きテストを実施していますので後日や4月になれば室温も20℃近辺まで上昇すると思われ追加分析レポートしたいと思います。

ちなみに空気中の水蒸気量と温度相関
Tetensの式:E(hPa) =6.11 × 10 at/( b + t ) ( hPa ) tは温度(℃)
水面の場合a= 7.5、 b= 237.3 、氷面の場合 a= 9.5、b = 265.5
から0℃前後で上記パラメータを変更して近似計算してみました。
画像
実際の実使用環境温度域
画像
飽和水蒸気量と20%水蒸気量での近似値計算から上掲のようなグラフを描いてみました。
グラフから40℃で相対湿度20%の露点温度12℃(温度差28℃)で飽和水蒸気圧になるようです。
又露点温度0℃から相対湿度20%に除湿するためには露点温度が0℃以上(氷結)を確保するには24℃以上で無ければならないことが解ります。
熱伝導率が熱伝導フィンのアルミ237(0℃)と比較して氷の2.2(0℃)は熱伝導率が1/108となり庫内湿度が20%、24℃近辺以下になるとフィンが氷結し除湿能力が1/100以下になるものと推察でき前述の庫内ログの結果にうなずけます。

しかし、15℃時の飽和水分量は対30℃時の42.3%であり、15℃時の相対湿度30%は30℃時の相対湿度12.7%程度の含有水分量であり全く問題のない水分量ではないかと思われる

トラブル解消の為ユニット交換取り外し時に除湿ユニットを確認してみました。
画像写真の通り庫内のペルチェ素子のフィンは発泡スチロールの様に分厚く氷結してしまっています。

序でにユニットでの消費電力を計測してみました。
画像これはシステムの電源ユニット(DC3.6V)の代わりに手持ちの可変電源で3.64Vを供給した処写真の様に1.02A消費し(3.7W)キャビネット付属のAC/DC電源ユニット5Wデータシート(実際は6W品を使用)の効率が75%から連続除湿運転時でも5W(60KHzスイッチング AC 100V~220V)程度と考えられカタログ値の7Wは余裕にクリアーしそうです。
ユニット交換後での実測では64mA/AC100V 6.4W(実測44KHzスイッチング AC100V? )でした。(春以降の実使用時は間欠動作となると思われます)


除湿動作状態電圧電流ユニット消費電力 総合消費電力
除湿動作中 3.84V 1.06A 4.07W6.40W
スタンバイ・表示機バックライト表示 3.84V 0.033A 0.127W0.20W
スタンバイ・表示機バックライト消灯 3.84V 0.005A 0.019W 0.030W

今回購入したキャビネットはメーカー保証が7年間(当初の機種決定要素)ですが故障すれば改造してペルチェ素子ユニットを追加して電気的に逆並列接続し除湿動作時に交互に通電方向を切り替えるか低温時にペルチェへの通電時間をインターバル駆動して庫内の氷結を溶融し効率アップに改造チャレンジしたいと思っています。
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除湿能力は?

投稿記事by tankimono » 2017年3月19日(日) 05:29

購入した大石電機のDHC-100の使用前のテストを実施しています。
除湿能力は?
画像
空気中の1立方メートル中の湿度含有量を計算して上掲の様にグラフ化してみました。
長期間保管庫の扉を閉めたままでは気にする必要はありませんが使用時に都度保管庫から取り出す場合(極端な場合一回/日以上)カメラやレンズの出し入れに内部の空気の略全量が外気と入れ替わり庫内の湿度を一定に保つために入り込んだ水分の再び除去動作が生じます。
この場合たとえば雰囲気温度が20℃の場合、仮に設定湿度と外気湿度差が20%の場合100L(DHC-100)の0.35g(0.35cc)夏場の温度が30℃の場合には0.61g(0.61cc)の水分を庫外に排出する必要があります。
1日に扉を朝夕2回開閉した場合この水分量は角砂糖1~2個/1日の水分量になります。
未だ梅雨時は2カ月ほど先ですがこの水分を庫外で蒸発処理可能か心配になってきました。

因みに、扉の開閉時の湿度推移ログ(精度 ±1.1℃ ±3.0%RH)を測定してみました。
画像
測定開始後の夜21時と朝5時頃3分間程度扉を開いて湿度の推移を測定したのが上掲のグラフです。
測定時の露点温度が氷点下になっている性か(ペルチェ素子の除湿ユニットは氷結)10℃台の湿度40%前後での環境では8~10%/8時間の除湿能力をグラフから読み取れます。(露点温度が0℃以上の露点温度状態では10%/3時間の除湿能力?)

その後継続して扉開閉による湿度推移を観測湿度推移ログ(精度 ±1.1℃ ±3.0%RH)し以下のグラフの様に観測しました。
画像
測定時の露点温度が氷点下で(ペルチェ素子の除湿ユニットは氷結)庫内温度が10℃台の湿度30%前後での環境では10%前後/12時間の除湿能力をグラフから読み取れます。
今後室温が上がった梅雨時に再度確認したいと思います。

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大石電機 DHC-100ドライキャビネットの評価

投稿記事by tankimono » 2017年3月24日(金) 19:05

購入したペルチェ式除湿方式の防湿保管庫 大石電機 DHC-100ドライキャビネットを試運転しての評価を記載します。
4月中旬から5月末(梅雨前)迄の運用す都度推移(ターゲット湿度20%設定)です。
画像
5月以降では露点温度も0℃以上になりユニットの氷結することは無いと思われますが、実質的に数回/週の器材出し入れで防湿庫扉をオープンすると30%程度以下にはならないようです。(実使用上問題とはならないが除湿能力?)

☆気に入った点
  • 概観見栄えが良い
  • 低消費電力が良くエコ
  • 安っぽいACアダプター方式でなく筐体電源でPSE取得で安心して使えそう。
  • 国内メーカーで7年保障で安心して使える。
  • 輸入業者でなく国内メーカーサポートで安心して使える。
  • 除湿速度が乾燥剤除湿方式と比較し早いと思われる
■改善してほしい点
  • 庫内の照明がない
  • 庫内に照明や充電などのACコンセントかUSBジャックがほしい
  • 温度や湿度センサーの反応が遅い。(ブラウン運動で拡散伝達されるため長時間スパンでは問題ない)
    センサーが庫内最上部に位置するディスプレーユニット裏の為ペルチェ素子での冷却対流範囲外で内部空気のブラウン運動で攪拌されるまで反応しない。
    この場合ペルチェ素子以下の空気が設定湿度以下になっていても除湿動作が引き続き行われ、扉の開閉で庫内湿度が上昇しても除湿動作が始まらない。
  • 低温時の乾燥能力の強化。(実使用上は低温時の空気中の含有水分は小さいので防カビ等の問題はないと思われる)
動画としてまとめてYouTubeに投稿しました。
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防湿庫の電源を入れ忘れてた

投稿記事by tankimono » 2017年8月09日(水) 19:03

最近防湿庫の電源コンセントを抜いたときに入れ忘れていました。 :cry:
のろのろ台風5号の接近で毎日、蒸し暑くて慌てて電源コンセントを差し込みました。
あくる日の14時間後、キャビネットが泣いています。
画像 私が叱りつけた訳では無いのですが泣いて詫びているのでしょうか?
以前にも、オネショをしたような筋も付いています。(常習犯?)
室内の湿度も70%前後あり慌てて湿度推移ログを録って見ました。
画像 湿度も温度も高いですね!
電源投入時の温度は30.0℃で相対湿度は71.5%、露点温度は24.3℃です。
その後24時間で31%も相対湿度が下がって40.5%になっています。
しかし、電源投入後48時間程度で38%~37%程度で下げ止まっているようです。
外気の湿度が高すぎてこれ以上は下がらないようです。
コレがこのドライキャビネットの能力限界かもしれません。


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